「個人再生と自己破産の違い」
個人再生と自己破産、どちらも裁判所に申し立てを行う債務整理方法ですが、両者は大きく異なります。
大きく違う4つのポイント 個人再生と自己破産がどう違うのか、4つのポイントで比較します。 ⇒ポイント1 借金が全てなくなるか ⇒ポイント2 財産を残せるかどうか ⇒ポイント3 借金の原因が問題となるかどうか ⇒ポイント4 仕事への影響が出るかどうか |
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ポイント1 借金が全てなくなるか
個人再生 | 自己破産 |
最大5分の1まで圧縮される | 原則借金がすべてなくなる |
自己破産は原則として借金のすべてがなくなる(免除される)のに対して、個人再生は借金がすべてなくなる(免除される)のではなく、「圧縮される」という点が大きく異なります。
具体的には、個人再生の手続きをすると、いま抱えていらっしゃる借金を、原則5分の1まで圧縮してもらい、その借金を3年間分割で支払っていくということになります。ちなみに今後の利息についてはカットしてもらえるので、相当返済の負担が軽くなります。例えば500万円の借金の場合ですと、個人再生をすることによって、借金の総額が最大100万円まで圧縮されます。これを3年間利息なしで払っていきますので、毎月の支払いは3万円弱まで減ることになり、確実に完済に向かうことができます。
ポイント2 財産を残せるかどうか
個人再生 | 自己破産 |
財産を残せる | 原則財産は手放す方向 |
個人再生だと、借金がすべて免除されるわけではなくいくらか残る、ということを考えると自己破産の方がよいのではないか、という見方もできます。しかし自己破産の場合、借金のすべてが免除される代わりに、ご自身がお持ちの財産も処分する必要があります。そのため、マイホームや車をお持ちの方は手放す必要がでてきます。
特に問題となる財産はマイホームでしょう。マイホームを失うことになると、まず家探し、引越し、子供さんの学校の転入など諸々の手続きが必要となり、非常に手間がかかります。そして、「今まで頑張って住宅ローンを支払ってきたのに…」と、愛着あるマイホームを手放さないといけない、という点について踏ん切りがどうしてもつかないという方も多いです。何年、何十年と住宅ローンを返済され、ご家族の思い出もたくさんつまったマイホームですから、戸惑われることも当然のことと思います。一方、個人再生の場合は、住宅資金特別条項という制度を利用することで、マイホームを守りながら、借金を整理(借金の元本を圧縮して今後の利息をカットして完済を目指す)することができますので、どうしてもマイホームを手放したくない、という方については非常にメリットが大きい手続きといえます。
ポイント3 借金の原因が問題となるかどうか
個人再生 | 自己破産 |
借金の原因は問わない | 原因によっては免責不許可事由に該当する |
自己破産の場合、借金ができた原因がパチンコや競馬、競輪、競艇といったギャンブル、高額な買い物や飲食といった浪費ですと、免責不許可事由に該当することになります。免責不許可事由に該当したら絶対に免責が許可されない(借金が免除されない)というわけではないのですが、免責が許可されるかどうかは裁判所の裁量ということになります。
一方、個人再生の場合は、借金の出来た原因、理由は問われません。ただ、個人再生を行う場合は、裁判所に今後個人再生の返済を行うことができる家計状況であることを証明しなければいけません。その点、まだギャンブルや浪費が続いていると、今後返済ができないのでは?と判断される可能性もありますので、ギャンブルや浪費による支出は控えていただく必要があります。
ポイント4 仕事への影響が出るかどうか
個人再生 | 自己破産 |
特になし | 一定の仕事に資格制限あり |
自己破産の場合は、一定のお仕事(警備員や生命保険募集人など)については、自己破産の申立てをしてから免責決定が下されるまでのあいだ、資格制限を受けるため、仕事に影響が出る可能性があります。
一方、個人再生の場合は、このような資格制限はありませんので、手続き中もお仕事を続けていただくことが可能です。